2014.7.16(水)

集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に抗議し撤回を求める会長声明

 本年7月1日、政府は、従前の憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行った。
 集団的自衛権の行使は、日本が武力攻撃をされていないにもかかわらず、他国のために戦争をすることを意味し、戦争をしない平和国家としての我が国の在り方を根本から変えるものであり、憲法第9条の許容するところではなく、そのことはこれまでの政府の憲法解釈においても長年にわたって繰り返し確認されてきたことである。
 このような憲法の基本原理に関わる重大な変更、すなわち憲法第9条の実質的な改変を、十分な国民的議論や憲法改正の手続を経ないまま、憲法に拘束されるはずの政府が閣議決定で行うことは、立憲主義に根本から違反し、憲法の存在意義を失わせるものであり、断じて許されない。
 さらに、本閣議決定は、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」等の文言で集団的自衛権の行使を限定するものとされているが、これらの文言は極めて幅の広い不確定概念であり、時の政府の判断によって恣意的な解釈がなされる危険性が極めて高く、限定や歯止めとして機能することは期待しえない。
 戦争と武力紛争が絶えることがない今日の国際社会において、日本国民が恒久平和主義の憲法原理に立脚し、平和に生きる権利(平和的生存権)の実現を目指す意義は極めて大きく、重要である。
 当会は、本年5月3日、「憲法解釈の変更による集団的自衛権行使容認に反対する会長声明」を公表したが、立憲主義と恒久平和主義に反する本閣議決定に対して改めて強く抗議し、その即時撤回を求める。

2014年(平成26年)7月16日
函館弁護士会
会長 室田 則之

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